Boris FXが、動画編集ソフト「VEGAS Pro」の最新バージョンである「VEGAS Pro 2027シリーズ」を2026年10月22日にリリースしました。
この記事では、VEGAS Pro 2027の新機能やVEGAS Pro 2026からの変更点・改善点について詳しくレビューしたので、VEGAS Pro 2027シリーズの購入を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
Boris FX時代の「VEGAS Pro」には、メジャーアップグレードを含む1年間の無償アップグレードが提供されるようで、私の使用しているVEGAS Pro 2026もVEGAS Pro 2027へ無償アップグレードすることができました。詳しくは以下の記事を参照してください。

VEGAS Pro 2027の新機能や変更点をチェック!
VEGAS Pro 2027の新機能や主な改善点を詳しく解説していきます。ただし、サブスク版に関係する機能は除外しています。
カラーマネジメントの改良(ベータ版)
VEGAS Pro 2027では、動画の色を管理する「カラーマネジメント」の内部処理が刷新されました。
ただし、新しいカラーマネジメントシステムは現時点ではベータ版として提供されているため、正式版に向けて今後も機能の改善や調整が行われる可能性があります。
新しいカラーマネジメントシステムでは、Log形式やHDR形式の映像をネイティブでサポートし、GPUを利用した高速な色変換処理に対応しています。
Log形式は、カメラが捉えた明るさや色の情報を幅広く記録できる撮影方式で、カラーグレーディングによって映像の色味や明るさを細かく調整したい場合に利用されます。
また、色域(Color Primaries)、伝達特性(Transfer Characteristics)、カラーレンジ(Color Range)を手動で設定できるようになり、映像素材の特性に合わせた色の管理が可能になりました。
これにより、Log撮影した素材やHDR映像を扱う際のカラーマネジメントの柔軟性が向上しています。
以下は、VEGAS Pro 2026で自宅の庭を撮影したS-Log3 / S-Gamut3.Cine素材を読み込んだ状態です。Log素材特有のコントラストや彩度が低い映像になっていることがわかります。

一方、VEGAS Pro 2027では、素材の色情報を自動的に認識し、適切な色空間へ変換してくれます。ただし、今回使用した素材ではハイライトの圧縮が弱く、全体的にかなり明るい映像になりました。

Sony純正のカメラLUT「SL3SG3Ctos709.cube」適用時の絵に似せるには、カラーグレーディングパネルのユーティリティタブで出力レベルを1から0.1ぐらいまで落とし、対数露光を上げて調節する必要がありました。

以下は、Sony純正のカメラLUT「SL3SG3Ctos709.cube」を適用した状態です。

新しいカラーマネジメントによってLog素材を自動的に変換できるようになったものの、Adobe PremiereやDavinci Resolveにあるようなトーンマッピングの方式や強度を調整する設定が用意されていません。
そのため、素材によっては従来のLUTを使用したほうが、良い結果になるかもしれません。
ただし、VEGAS Proではカラーグレーディング機能の強化が進められており、今回の新しいカラーマネジメントもその一環といえます。まだベータ版ということもあり、今後のさらなる改善に期待したいところです。
メディアプロパティ画面の刷新
メディアを右クリックして「プロパティ」を選択すると表示される、メディアプロパティ画面が大幅に変わりました。
以下は、VEGAS Pro 2026のメディアプロパティ画面。

以下が、VEGAS Pro 2027のメディアプロパティ画面です。メディアに関するさまざまな情報を確認できるようになり、カメラが記録したメタデータなども表示できます。

カラーメタデータを自動認識
VEGAS Pro 2027では、映像に記録されているカラーメタデータを自動的に読み取り、認識した情報を設定に反映します。メディアプロパティの「ビデオ」ページを見ればVEGAS Proがどのように認識したのかを確認できます。

メタデータが不完全または不正確な場合、正しく認識されないことがあるため、Log素材などを使用する際は、「原色」「伝達特性」「マトリックス係数」「カラーレンジ」が正しく設定されているか必ず確認しましょう。
これらの設定は、前述したカラーマネジメントにも関係しており、素材の色を正しく変換するために重要な情報となります。
従来どおりカメラLUTを使用してカラーグレーディングを行いたい場合は、「原色」と「伝達特性」を「BT.709」に設定してください。
レンダリング時の出力ファイル名を動的に生成
VEGAS Pro 2027では、レンダリング設定画面のファイル名を動的に生成出来るようになりました。
名前欄を右クリックすると、利用できるフォーマットが表示され、選択することでファイル名を動的に設定できます。

例えば、プロジェクト情報⇒プロジェクト名を選ぶと以下のように設定されファイル名にプロジェクト名を含めることができます。テキストフィールド直下で実際に作られるファイル名を確認できます。

- 日付時刻
- 日付(yyyy-MM-dd)
- 時刻(HH-mm-ss)
- 日付+時刻
- 月名
- ビデオプロパティ
- フレームレート
- プロジェクトのフレームレート
- 解像度
- プロジェクトの解像度
- 幅
- 高さ
- HDRモード
- ビデオビットレート(kbps)
- オーディオプロパティ
- オーディオモード
- オーディオコーデック
- サンプルレート(kHz)
- ビット深度
- オーディオビットレート(kbps)
- プロジェクト情報
- プロジェクト名
- テンプレートタイトル
- カウンタ
- カウンタ(ゼロ埋め)
複数のフォーマットを自由に組み合わせて、目的に合ったファイル名を自動生成できます。
一度設定すれば、次回レンダリング時も同じ設定が読み込まれるので、毎回ファイル名を手動で設定する手間が省けます。もちろん変更はいつでも可能です。
AIクイックマスクを追加
VEGAS Pro 2027では、従来のAIスマートマスク2.0に代わり、新たにAIクイックマスクが搭載されました。
実際に試してみたところ、以前までのAIスマートマスクと比べて精度と速度が比べ物にならないほど進化していました。
1フレームを分析して、その後トラッキングするだけで簡単にマスクを作成できます。

私のPCはNvidia RTX3060Tiという2世代前の少し古いグラボを使用していますが、単純なマスク作成だと約15秒の長さの動画で41秒の処理時間でした。かなり高速だと思います。エッジをソフトに設定した場合だと2分ぐらいの処理時間になります。
Boris FXの技術力がVEGAS Proの改善に大きく寄与し始めていますね。

以下の動画でAIクイックマスクの精度を確認してみてください。ソフトエッジでマスク化しています。※webm化しているため画質は劣化しています。
ところどころうまくマスク化されていないゴミピクセルが存在しますが、問題のあるフレームを手動で分析しなおして修正することも可能です。
GPUを利用した動画の書き出し処理を効率化
VEGAS Pro 2027では、GPUが映像処理に使用するDirectXテクスチャをハードウェアエンコーダーへ効率よく転送できるようになりました。
これにより、NVIDIA、AMD、Intelの対応環境でシステムメモリへのデータコピーが削減され、CPUの負荷が軽減されています。
AVC・HEVCのレンダリング機能の拡張
VEGAS Pro 2027では、AVCおよびHEVC形式でのレンダリング機能も強化されています。
まず、対応するGPUを使用した場合に、4:2:2のクロマサブサンプリングによるハードウェアエンコードが可能になりました。以下はHEVCの例ですが、AVCの場合は、NVIDIA RTX50シリーズのグラボを積んでいないと4:2:2オプションは表示されないと思います。

4:2:2は、一般的な4:2:0よりも多くの色情報を保持できるため、色の境界や細かな色の変化を重視する映像の書き出しに適しています。
また、AVC・HEVC形式で書き出す際の音声設定も拡張され、対応するMP4・MOV形式では、最大192kHzの24bit PCM音声や、最大32チャンネルのマルチチャンネルPCM音声を出力できるようになりました。

これにより、映像の品質だけでなく、音声の品質やチャンネル構成にもこだわった書き出しが可能になっています。
ビデオイベント単位でコンポジットFXを使用可能に
VEGAS Pro 2027では、ビデオイベントFXのプラグインチューザー画面に、新たに「コンポジット機能」が追加されました。

この機能を使うと、対応するエフェクトで下のトラックに配置された映像も利用した合成処理ができるようになります。
AI Z-DepthはコンポジットFXとして利用できるので、AI Z-Depthを使って、人物などの前景の後ろにテキストを配置する場合を見てみましょう。
これまでだと、以下のように3つのトラックを使用する必要がありました。この場合、AI Z-Depthは一番上の映像に適用します。

一方、コンポジット版のAI Z-Depthを使用すると、同じ合成を2つのトラックで実現できます。この場合は、一番上のテキストにAI Z-Depthを適用し、「反転」のチェックを外すことで、従来と同じ合成結果を得られます。

このように、コンポジットFXを使用すると、トラック構成をシンプルにしながら合成処理を行うことができます。
VEGAS Proに標準搭載されている対応エフェクトは限られていますが、Boris FX ContinuumやSapphireにはコンポジットFXに対応するエフェクトが多数あり、これらのプラグインを使用することで活用の幅が広がります。
タイトル及びテキスト機能の改善
VEGAS Pro 2027では、「タイトルおよびテキスト」の機能が改善され、文字レベルでの前景色と背景色の制御、右から左へのテキスト表示のサポート、Unicode互換性の向上などが追加されました。
特に、Unicode互換性の向上により、日本語のフォントレンダリングが改善されているので、日本人ユーザーにとっては非常に嬉しい改善となっています。
VEGAS Pro 2027のタイトル及びテキストでは、フォント選択画面でフォントの形状が確認出来るようになり、フォント選びが楽になっています。


文字レベルの前景色と背景色の設定も可能になり、凝ったテキストも作りやすくなっています。

ビデオエフェクトの設定画面にフィルター機能を追加
ビデオエフェクトの設定画面に、パラメーター表示をフィルタリングするボタンが追加されました。

追加されたのは、以下の3つのボタンです。
- Easyパラメーターのみ表示
- アニメーションのみ表示
- 編集済みのみ表示
Easyパラメーターのみ表示ボタンを押すと、基本的なパラメーターだけが表示されます。
例えばベジエマスキングエフェクトの場合を例に見てみます。

デフォルト画面

Easyパラメーターのみ表示ボタンをONにすると表示されるパラメーターが最小限になります。

幅と高さのアニメーションボタンをONにする。

アニメーションのみ表示ボタンをONにすると、アニメーションをONにした幅と高さのパラメーターのみが表示されます。

角度だけデフォルト値から変更。

編集済みのみ表示ボタンをONにすると編集したパラメーターが表示されます。
余計な情報を表示したくない、アニメーション化してるものだけ、数値を調節してるもののみ表示したいという時に活用できます。
AV1レンダリング機能の改善
VEGAS Pro 2027では、AV1形式でのレンダリング機能が改善され、エンコード設定の拡充や画質の向上、不具合の修正が行われました。
新たにHDR出力やカラーフォーマットのカスタマイズに対応したレンダリングテンプレートが追加され、従来よりも柔軟な設定でAV1形式の動画を書き出せるようになっています。


また、新しいエンコードパラメーターの追加や、SVTエンコーダーの品質改善も行われています。

カスタマイズ設定

カスタマイズ設定
VEGAS Pro 2026では基本的な設定項目しかありませんが、VEGAS Pro 2027で設定可能な項目が大幅に増えていますね。
不具合の修正では、AV1の4:2:2・8bit形式でレンダリングした際に、映像が黒くなったり、フリーズしたりする問題が修正されました。また、カスタムレンダリング設定を変更した際に、設定内容の概要表示が正しく更新されるようになっています。
Nikon ZR R3Dの映像素材に対するネイティブサポートを追加
VEGAS Pro 2027では、ニコンのフルサイズミラーレスカメラ「Nikon ZR」で撮影したR3D NE形式の映像素材を、別の形式に変換することなく直接読み込めるようになりました。
R3D NEはREDのRAW動画技術をベースとした記録形式で、撮影時の映像情報を豊富に保持できるため、カラーグレーディングなどで柔軟な色調整が可能です。
OFXエフェクトエンベロープの改善継続
VEGAS Pro 2026ではベータ版として搭載されていた「OFXエフェクトエンベロープ」ですが、VEGAS Pro 2027では「Beta」の表記がなくなりました。
Boris FXの公式サイトでは正式版への移行について特に発表されていません。
OFXエフェクトエンベロープ機能も2026から改善が続けられていますが、個人的に触ってみた感じだとまだベータ版の域を出ていない感じでした。
特にベジェ曲線を使って調整すると、エンベロープ上に表示される値とエフェクトの設定画面の値が一致しなくなる問題が確認できました。
この機能を利用する場合は、注意したほうがよいでしょう。
BCC Title系の新機能と機能改善
新たにBCC Textが利用可能に
実は、VEGAS Pro 2027の公式プロモーションでは紹介されていない、新しい機能があります。
それが「BCC Text」プラグインです。BCC Textは、Boris FX Continuum 2027で新たに搭載された機能ですが、BCCタイトル系ということでVEGAS Pro 2027でも使えるようになっています。
BCC Textは、文字単位のアニメーションや3D回転に対応した、ベクターベースのテキストエフェクトで、文字のX・Y・Z軸回転や拡大縮小、傾斜などの変形に加え、文字や単語、行単位で順番に表示するタイプオンアニメーションにも対応。さらに、グラデーションや縁取り、シャドウなどの装飾機能も備えています。
カウンターやタイムコード、日付、カウントダウンなどを自動生成する機能も搭載されており、シンプルなテロップから動きのあるタイトルまで、幅広い表現が可能です。

BCC Title系の日本語フォントのバグ修正
VEGAS Pro 2026で搭載されたBCC Title系のエフェクトにおいて、日本語フォントの選択画面で日本語が文字化けしてしまいどれが何のフォントなのか判断できないというバグが存在しました。
この問題は私からBoris FXにバグ報告していたのですが、今回のバージョンで早速修正されました。

フォント選択画面の日本語フォント名が文字化けしてどのフォントなのか識別できませんでした。

フォント選択画面の日本語フォント名の文字化けが治っています。さらにフォントの形状も選択画面で確認出来るようになっています。
他にも多数の機能改善やバグ修正あり
今回紹介した機能や改善点以外にも、多数の改善点やバグ修正が行われています。
VEGAS Pro 2027の細かなアップデート内容は以下の記事を参照してください。

まとめ
VEGAS Pro 2027で個人的に特に感心したのが、AIクイックマスク機能です。MAGIX時代のAIによる自動マスク機能は正直いまひとつでしたが、今回のAIクイックマスクからは、Boris FXが持つ映像処理技術の高さを感じ取ることができます。
また、アジア系言語のフォントレンダリングが改善されたことも、日本のユーザーにとっては嬉しい変更点です。こうした日本語環境への配慮は、今後も継続してほしいところです。
そのほかにも、さまざまな新機能や機能改善が加えられており、カラーマネジメントやGPUレンダリングパイプラインなど、動画編集の基盤となる部分も強化されています。
VEGAS ProはMAGIX時代からコアエンジンの近代化に取り組んできましたが、開発陣によると、コアアーキテクチャに関する基礎的な作業の大部分はすでに完了しているとのことです。
今後は内部構造の改良だけでなく、ユーザーからの要望をより積極的に取り入れた機能改善やアップデートにも期待が高まります。
VEGAS Proは、直感的で自由度の高いタイムライン操作が魅力の動画編集ソフトです。一度その操作性に慣れると、なかなか手放せなくなるほどの使いやすさがあります。
買い切りで利用できるので、毎月の利用料金を気にせず動画編集を続けたい方にもおすすめです。これから動画編集を始める方や、旧バージョンを利用している方は、ぜひVEGAS Pro 2027の購入やアップグレードを検討してみてください。

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