動画編集ソフト「VEGAS Pro」の最新バージョンである「VEGAS Pro 22シリーズ」が、日本において2023年9月27日にソースネクストから発売されました。
今回、ソースネクスト様よりレビュー用に「VEGAS Pro 22」エディションを提供して頂けたのでVEGAS Pro 22で新たに追加された新機能やVEGAS Pro 21からの変更点について詳しくレビューします。
VEGAS Pro 22シリーズの購入を考えている人はぜひ参考にしてみてください。




VEGAS Pro 22の新機能や変更点をチェック!
VEGAS Pro 22で新しく追加された新機能について詳しく見ていきます。
「VEGAS Pro 22」の新機能及び変更点をYoutube動画でまとめているので、新機能についてより詳しく知りたい方は動画をご視聴ください。

新しいウェルカムスクリーン(ようこそ画面)

VEGAS Pro 22でウェルカムスクリーン(ようこそ画面)が新しくリニューアルしています。
左側に「新規プロジェクト」、「プロジェクトを開く」、「概要」という3つのタブが用意され、機能性が向上しています。
新規プロジェクトタブ
新規プロジェクトタブでは、アスペクト比、解像度、フレームレート、ドロップフレームを指定して新規プロジェクトを作成することができます。
VEGAS Pro 21の時は、2つのアスペクト比オプションしかありませんでしたが、VEGAS Pro 22では、5つから選べるようになっています。
また、新たにドロップフレームかフルフレームなのかを選択する事が可能になりました。
VEGAS Pro 21の時にあったディスプレイレイアウトの選択オプションは削除されています。
プロジェクトを開くタブ
最近使ったプロジェクトが表示される他、既存のプロジェクトファイルを開くことが出来ます。
概要タブ
チュートリアルやオンラインヘルプ、コミュニティ、ソーシャルメディア等の各コンテンツにアクセスする事が出来ます。
エクスプローラーウィンドウのデザイン変更

VEGAS Pro 22で、エクスプローラーウィンドウがリニューアルされました。
ツリービューのアイコンは、色の付いたグラフィカルなデザインからフラットなモノクロームデザインに変更されています。
右上にずらっと並んでいたボタンは、3つに整理され、かつてあった機能はよりわかりやすい所に移動しました。
サムネイル上にマウスオーバーすると、上部にアクションボタンが表示され、タイムラインへの追加やプレビュー再生、トリマーウィンドウへの表示アクションがよりスピーディーに実行できるようになっています。

他にも、右クリックで表示されるメニューがより洗練されたり、サムネイルビュー、詳細ビュー、リストビューの切り替えがより簡単にできるようになっていたり、詳細ビューで確認できる情報量が激増していたりといろいろ改善されています。
以前と比べてかなり使いやすくなっと思います。より詳しく知りたい方は、Youtube動画でご確認ください。
新しいマルチカムオーディオ同期

VEGAS Pro 22では、マルチカムイベントを同期する機能が全面的に見直されました。オーディオのタイプに最適化されたオプションを使って素早く同期できるようになりました。
VEGAS Pro 21の時と比べて、同期処理は格段に速くなっていました。
以前のマルチカメラ同期機能は非常に精度が低く、思うように同期してくれませんでしたが、実際に試してみた所、満足できるレベルで同期できたのでマルチカムオーディオ同期機能はかなり改善されたのではないかと思います。

実際に動作する様子は、Youtube動画で確認してみてください。
AIオートリフレーム

AIオートリフレームは、元のアスペクト比と異なるアスペクト比でレンダリングする際、AIが最も重要だと思われるオブジェクトにフォーカスし、そのオブジェクトが中央に維持されるように調節して出力してくれる機能です。
例えば、標準的な16:9のアスペクト比の動画からInstagram用の正方形アスペクト比の動画を作りたいといった場合にAIオートリフレームを使えば、自動でいい感じに動画を調節してくれるので非常に便利です。
AIオートリフレームを使用するには、プロジェクトのアスペクト比と異なるアスペクト比のテンプレートを選び、レンダリングオプションの「AIオートリフレームによるレンダリング」にチェックを入れてレンダリングします。

AIがうまく対象物を認識してくれないというような場合は、手動でフレームを調節して作成する事も可能です。
AIオートフレームが実際に動作する様子は、Youtube動画で確認してみてください。
AIかすみ除去(AI DeHaze)

AI かすみ除去機能は、煙、霧、スモッグなどの霞んだ要素をビデオで分析し、それらの要素を軽減してより鮮明でクリアな映像にしてくれる機能です。
利用するには、「AIヘイズ除去」エフェクトを適用します。
以下は、エフェクトの設定画面。

AIヘイズ除去の詳細パラメーターで、ローカライズミスがあります。「メディア」となっている所は、英語のMediumをご翻訳したものと思われます。正しくはメディアではなく「中」なのでご注意ください。

AIシャープニング(AI Sharpen)

AI シャープニングはAIを使って映像を分析し、より鮮明でクリアな映像に仕上げてくれる機能です。
鮮明度を上げる以外にも、不自然に鮮明さを与えることで特殊効果として使用する事も可能です。
利用するには、「AIシャープニング」エフェクトを適用します。
以下は、エフェクトの設定画面。

「A シャープニング」も「AIヘイズ除去」と同様にの詳細パラメーターで、ローカライズミスがあります。「メディア」となっている所は、正しくは「中」なのでご注意ください。

AIスムージング(AI Smoothen)

AIスムージングは、AIが映像を分析し、映像のシャープなエッジを維持したまま細かいディテールをソフトにすることが出来る機能です。
顔のアップ映像で肌のザラザラ感を軽減したりすることも出来ますし、大量に効果をかけて特殊効果的に使ったりすることも出来ます。
利用するには、「AIスムーズ」エフェクトを適用します。
以下は、エフェクトの設定画面。

「AIスムーズ」も詳細パラメーターで、ローカライズミスがあります。「メディア」となっている所は、正しくは「中」なのでご注意ください。

ビートの検出

ビートの検出は、オーディオを分析し、オーディオ周波数帯域の中低域と低域の特異なエネルギーを検出してマーカーを埋め込んでくれます。
マーカーはスナップオブジェクトになっているので、ビートに合わせたビデオイベントの配置が容易になります。
ビート検出を利用するには、オーディオイベントを右クリックして表示されるメニューから「ビート検出」をクリックします。

トリマーウィンドウ上で検出したビートの所にマーカーが表示され、ダイアログのしきい値スライダーでマーカーの数を増減させることができます。OKボタンをクリックすると、マーカーが確定します。

スナップオブジェクトのマーカーがあることで、ビートの位置に簡単にビデオイベントを配置できます。ビートによる映像の切り替えていく映像の制作をスピーディーに行えます。

プロジェクトテンポ設定へのアクセス方法を追加

プロジェクトテンポ設定へのアクセス方法が新たに追加されました。これまでは、プロジェクトプロパティ画面を表示してから「ルーラー」タブをクリックするという手間が必要でしたが、新たな方法を利用すれば、即座にプロジェクトテンポ設定画面にアクセスすることができます。
プロジェクトテンポ設定への新たなアクセス方法は以下の2つです。
- メインメニューからアクセスする方法
- タイムラインルーラーを右クリックしてアクセスする方法
メインメニューからアクセスする方法
メインメニューの「オプション」ー「ルーラーフォーマット」ー「プロジェクトテンポを設定」から呼び出せます。

タイムラインルーラーの右クリックメニューからアクセス
タイムラインルーラーを右クリックして表示されるメニューから「プロジェクトテンポを設定」をクリックします。

テンポの検出

テンポの検出機能は、音楽を分析して曲のテンポを検出し、検出したテンポをプロジェクトテンポとしてダイアログ上から簡単に設定することが出来る機能です。
他にも、ルーラーの時間形式を小節と拍に設定メトロノームの起動グリッド線へのスナップの有効化を同時に設定する事が出来ます。
テンポの検出機能を試してみた所、テンポが正確に検出されない場合が多く、残念ながら現時点ではテンポ検出の精度は低いと言わざるを得ないでしょう。海外フォーラムでも指摘あり。
テンポの検出機能を使用するには、テンポを検出したいオーディオイベントを右クリックして、表示されるメニューから「テンポ検出」をクリックします。

すると、以下のダイアログが表示され、検出されたテンポ(bpm)が表示されます。

ダイアログ上に設定項目は以下の通りです。
- プロジェクトテンポとして設定
-
検出されたテンポをプロジェクトテンポとして設定します。
- ルーラーの時間形式を小節と拍に設定
-
タイムラインルーラーの表示を小節と拍数の表示に切り替えます。
- メトロノームをアクティベート
-
再生時に拍の個所でメトロノームを鳴らすことが出来ます。
- グリッド線へのスナップの有効化
-
小節や拍のグリッド線にスナップできるようになります。
プロジェクトテンポとして設定にチェックを入れ、OKボタンをクリックすることで、検出したテンポがプロジェクトテンポとして設定されます。
以下がVEGAS Pro 22が検出したテンポをプロジェクトテンポとして設定した状態ですが、音の位置とタイムラインルーラーの拍の位置が一致していない事がわかります。

フリーソフトの「MixMeister BPM Analyzer」でBPMを調べた所、112.01bpmという数字になりました。VEGAS Pro 22が検出した128.00bpmという数字と異なっていますね。

112.01をプロジェクトテンポとして設定すると、タイムラインは以下のようになります。今回は音の位置とタイムラインルーラーの拍の位置が合っていることがわかります。

というわけで、残念ながらVEGAS Proのテンポ検出機能は、現時点では不正確なテンポを検出してしまいます。検出されるテンポが間違っていると、この機能自体の意味がなくなってしまうので、早期の修正を願いたいですね。
VEGAS Pro 22 Build 194へアップデートすると、今回使用したオーディオに関してはテンポが正常に検出されるようになっていました。ただ、オーディオ素材によってはまだうまくテンポ検出できない場合も存在します。これは「MixMeister BPM Analyzer」にも言える事です。テンポの自動検出機能は過信せずに、おかしい場合はテンポ検出タップアプリ等を使ってマニュアルで調査・設定する事も考えましょう。
タイムライン選択の改善

VEGAS Pro 22では、タイムラインの選択テクニックが改良され、より簡単に複数のイベントを選択できるようになりました。
VEGAS Pro 21までは、タイムライン上の空白スペースを左ドラッグすると、時間範囲選択の共同となり、複数のイベントを選択するには、選択編集ツールアイコンを手動でONにする必要がありましたが、VEGAS Pro 22では、タイムライン上の空白スペースを左クリックドラッグすると、自動的に選択編集ツールがON状態になります。
時間範囲選択を行いたい時は、右クリックドラッグで行えるようになっています。
一応、VEGAS Pro 21以前の挙動に戻す方法も用意されています。戻したい場合は、ユーザー設定画面の「編集」タブをクリックして、一番下にある「マウスの右ボタンで[選択編集ツール]に切り替えます」にチェックを入れてOKボタンをクリックしましょう。

AIテキストベース編集(フルリリース)

VEGAS Pro 21 Update 3でAIテキストベース編集のベータ版が提供されていましたが、VEGAS Pro 22でフルリリースになりました。
AIテキストベース編集とは具体的にどういうものかというと、VEGAS Hubの「AI speech to text」機能を使って音声を文字起こしをした後に、そのテキスト情報だけでタイムラインを編集する事ができるという機能です。
また、文字起こしと編集したテキストを使って字幕テキストを作る機能も付随しています。
ここでは、音声から文字起こし(AI speech to text)、テキストベース編集、字幕生成の3つの機能をひっくるめてAIテキストベース編集機能として扱います。
で、このAIテキストベース編集は、日本人には正直使える代物ではないというのが私の正直な感想です。以下に各機能がなぜ使えないのかまとめてみました。
転写

転写画面では、AI speech to text機能を使って音声から文字起こしができます。文字起こし用途だけで使用する分にはそこそこ使えると思います。
ただし、VEGAS Pro 22のフルリリースで、右側に検索と置換機能が搭載されましたが、日本語の場合ワード単位で置換が行えないので使い物になりません。
テキストベースの編集

テキストベースの編集画面でテキストを編集すると、タイムライン上にも編集が反映されます。
で、この機能において日本人が使えないポイントは、文字やワード単位でカットや削除ができない点です。AIが認識した文章単位でしかテキストを選択できないため、編集したいピンポイントの場所をカットしたり削除したりといった事が出来ません。
また、空白部分の削除も、空白領域をまるまる削除してしまうため、カット部分に適度な間が残らず、前の音声と後の音声が引っ付きすぎて不自然な再生になってしまいます。
そのため、結局タイムライン上での編集が必須になるので、意味がないというのが現実です。
字幕

字幕画面では、テキストベース編集で編集後のテキストを利用して字幕を作成することができます。
で、この機能において日本人が使えないポイントは、1行当たりの最大文字数の調節がうまく機能してくれません。そのせいで、好みのタイトルプリセットを使って字幕を作成できません。
2行を選択した場合も不自然な所で折り返されたり、2行にならなかったりします。
また、句読点を除去する機能もないので、字幕に句読点が含まれてしまう事になります。
まとめ
- 転写画面で検索と置換が使い物にならない(文字単位、単語単位で置換できない)
- テキストベースの編集で文字やワード単位でカットや削除ができない点
- テキストベースの編集で、選択した文章や空白を削除した際に、つなぎ目に適度な間がなくなる
- 字幕作成画面で1行当たりの最大文字数の調節がうまく機能しない
- 字幕作成画面で2行に設定する機能もおかしな挙動をする
- 字幕作成画面で句読点を除去できない。
AIテキストベース編集機能は結局の所、日本人が使えるレベルに最適化されていないため、正直この機能を使うのは厳しいと思います。
MAGIX社が日本人のためにこの機能を特別に修正したりカスタマイズしてくれる見込も薄いと思われます。
なので、AIテキストベース編集については今後もあまり期待できないかなーというのが正直な感想です。
VEGAS Hubが使える!
VEGAS Pro 21 Update 3より、永久ライセンスユーザー向けにクラウド関連の機能「VEGAS Hub」が解禁されました。当然VEGAS Pro 22でもVEGAS Hub機能にアクセスできます。
VEGAS Hub機能では、ストックメディア機能や、ストレージの利用、AI Text to Speech、AI Speech to Text等の機能を利用する事ができます。
ただし、各機能には利用制限が設けられています。
VEGAS Pro 22のVEGAS Hub利用制限については以下の記事で詳しくまとめているのでそちらを参照してください。

「VEGAS Pro 22」と「VEGAS Pro Suite 22」のどっちを買うべき?
VEGAS Pro 22シリーズには、「VEGAS Pro 22」と「
VEGAS Pro Suite 22」という2つのエディションが存在します。
「VEGAS Pro Suite 22」エディションは、「VEGAS Pro 22」に加えて数々のバンドル製品が付属しているのですが(その分価格は高い)、どっちを購入すればよいか迷っている人もいるのではないでしょうか?
残念ながら手元に、「VEGAS Pro Suite 22」がないので各バンドル製品について今回詳しく紹介できませんでしたが、どちらを買うべきかと問われれば「VEGAS Pro Suite 22」の購入がおすすめです。
なぜなら、VEGAS Pro Suite 22には、平面モーショントラッキングツール「Mocha VEGAS」が付いてくるからです。これがあるのとないのとでは、モーショントラッキングのやりやすさが段違いです。

また、サウンド編集ソフト「SOUND FORGE Pro 18」もバンドルされているので、ノイズリダクション機能が使えるようになります。

なので、迷っているなら「VEGAS Pro Suite 22」の購入をお勧めします。
「VEGAS Pro Suite 22」の各バンドル製品についての詳細は以下の記事を参照してください。
キャンペーン情報
ソースネクストが実施する激安キャンペーンは今でも健在です。
激安キャンペーン時に購入すればVEGAS Pro 22シリーズを非常にお得に購入する事ができます。
当サイトでは、VEGAS PROシリーズの最新キャンペーン情報を随時紹介しているので、購入を考えている方は定期的にチェックしてみてください。
個人で動画編集を始めるならVEGAS Pro 22がおすすめ!
VEGAS Pro 22は、テンポの検出のバグやAIテキストベース編集が日本人には使いにくいという残念なポイントもありましたが、AI技術を使ったエフェクトや、音楽に合わせた編集がやりやすくなるビート検出など便利な機能が多数搭載されました。
特に、SNS用のアスペクト比の動画を容易に作成することが出来るAIオートリフレームは、インスタグラム等のSNSで動画をアップしている方には重宝すると思います。
また、VEGAS Hub機能のストックメディア機能を使えば、商用可能な素材をダウンロードして映像制作に活かすことができるので、これから動画編集を始めたい方にとってVEGAS Pro 22は魅力的な選択肢になると思います。
VEGAS Pro 22は、買い切りソフトなので一度購入すればずっと使用できるし、Adobe Premiere Pro並みの高機能なのに直感的に使えるし、キャンペーンを利用すればかなりお得に購入できるので、これから動画編集を始めたいという方はぜひ購入を検討してみてください。
【公式販売サイトで最新をチェック】
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